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理論ノート

順圧大気と傾圧大気

順圧大気は等圧力面と等密度面が平行,傾圧大気はそうでない大気であるが, 順圧大気に2次元的な振る舞い,傾圧大気は3次元的な振る舞いをするイメージがあるが, それらの行間は些か広く非自明である. しかし,順圧と傾圧は大気の運動の振る舞いを大きく規定するものであり, 理解することは避けては通れないものである. この記事は順圧大気と傾圧大気に関して等圧力面と等密度面が平行であるか 否かを出発点に大気中における順圧・傾圧の諸定理を演繹的に議論するものである. 最後の方には,等価順圧大気に関して紹介する. さらに大気力学と気候力学の両者に共通する順圧・傾圧大気像の本質に迫ることができる.

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湿潤大気の熱力学の基礎

大気力学において水蒸気を含んだ大気を湿潤大気という. 湿潤大気は水蒸気の相変化による潜熱効果によって その熱力学や力学に影響を及ぼす. この記事は湿潤大気における熱力学および静的安定性について, 乾燥大気の場合と比較して著したものである. 湿潤大気の議論は乾燥大気のそれと比べ理解が甘くなりがちであるが 実際大気においては水蒸気効果は無視できないものであるため この記事を書くことにした.

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準地衡方程式系の導出

準地衡方程式系は中緯度総観大気力学を考えるときに用いられる, プリミティブ方程式系にある種の近似を行った方程式系であり, そのスケールで卓越する力学を捉えることができる. 準地衡方程式系の導出は無次元化方程式に対して摂動展開をして 卓越する項を取り出すことで行われるが,数学的な操作のイメージが つよく,物理的な意味を見失いやすいためこの資料ではその点に着目しつつ導出を行っている.

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